第二編
良き政治指導者および議員制度
--------
良き政治指導者および議員制度
--------
第七三条
国家レベル・地方レベルの政治指導者になる者は、良い市民であり献身的に、国家、宗教、国王、そして、国民のために懸命に任務を遂行しなければならない。そのような政治指導者は、次の掲げる者である。
(一)全レベルの選挙立候補者。
(二)全レベルの政治的地位にある者。
他の国の指導者は、法令に従い、第一段の指導者と同様な姿勢で任務を遂行しなければならない。
第七四条
政治職者、公務員もしくは国の職員のそれぞれの倫理標準は定められた倫理コードに従い、倫理標準は効率的な適用のための実施メカニズム及びシステムを有していなければならず、行為の程度に基づく罰則段階を定めなければならない。
第一段に基づく倫理標準への違反もしくは不遵守は、規律違反行為であるものとみなす。国の機関の職員の場合にはその上司が規律上の処分の手続きを行う。政治的地位にある者の場合には国家倫理議会が早急に審議し、審議の旨を衆議院・参議院・内閣、あるいは関連の議会に報告する上で市民議会に報告する。国家倫理議会が公開の必要性があると判断した場合、審議内容の公開をすることができる。
国家倫理議会の報告を受けた後、第二段の機関は次の手続きを、再審査することなく、行うことができ、当該手続きの結果を国家倫理議会の定める期間内に国家倫理議会に報告する。手続完了後、それを結果を公開する。
首相・国務大臣・衆議院議員・参議院議員の倫理標準への違反もしくは不遵守は、重大な違反とし、第二五三条に基づく罷免・公務職の地位につく権利の剥奪の根拠となり、国家倫理議会は早急に選挙委員会にこの旨をしなければならない。
選挙委員会は、第四段による投票を次回の衆議院選挙の際に行い、首相・国務大臣の場合は全国の選挙区で投票するものとする。衆議院議員・参議院議員の場合、次のとおり、当該者の所属する地域において投票を行う。
(一)多数決で罷免の決議があった場合、当該者を罷免し、投票日より五年の間、公務職の地位につく権利の剥奪する。
(二)すでに公務職の地位から去った者である場合、多数決で罷免の決議があった場合、当該者を罷免し、投票日より五年の間、公務職の地位につく権利の剥奪する。
本条による投票は最終的なものとする。同一の根拠で再投票を求めることはできないが、最高裁判所政治職者刑事訴訟には影響を及ぼさない。
いかなる公務職の場合でも任命する時には当該者の倫理的な面も考慮すべきである。
国家倫理議会は、国民および公務職に就く者の倫理を促進する役割を有する。
国家倫理議会の構成、権利義務、いかなる手続きに関しては国家倫理議会の法令に従う。
第七五条
公務職につく者、もしくは、国の他の機関に所属している者は最低限次のような事項を遵守しなければならない。
(一)個人・自己の所属する政党・団体などの利益を識別し国家と公共の利益を重視する。
(二)国民の意見を受け入れる。
(三)国民に十分な情報を開示する。
(四)政治的責任を有する。
(五)法令違反行為を目撃した場合それを取り締まる機関に通報する。
公務職につく者は最低限次のような事項をしてはならない。
(一)地位を濫用して自己の利益を追求する。
(二)倫理・宗教・伝統の原則に反するような行為をとる。
(三)不謹慎な発言をし国内の衝突を促すような行為をとる。
(四)法律に違反した人もしくは団体の誘導を許す。
(五)長期的な被害をもたらすような自己の評価に有利な政策を思索する。
(六)憲法・法令を回避もしくは他人に法律回避を勧めるような行為をとる。
第七六条
政党は、政党の組織、活動及び規則は国王を元首とする民主主義制度の統治基本原則に沿っていなければならない。
党執行委員は、憲法・法令に基づいて国民の最大の利益を考慮し政党を慎重かつ公正に運営し、第七五条の規定をに関する準用する。
比例代表・選挙区方式の議員立候補者を名簿を出す場合においては国民・政党内の意見を求め、政党に関する憲法附則法令に従う。
政党の募金に関する事項は党執行委員が法律の定める限りにおいてそれを行われ、政党に関する憲法附則法令・衆議院および参議院に関する憲法附則ほ法令にしたがう。
衆議院審議の際にいかなる決議をするかという党の決議は、当該党の衆議院議員会議においてのみ決議をすることができる。
四分の一以上の党に所属している衆議院議員、党執行委員、千人以上の党のメンバー、五千以上の国民が本条の定める決議方法に反して行われたことを知った場合には党執行委員に是正を求めることができ、党執行委員会がそれを拒否した場合、憲法裁判所に裁定を求めることができる。本段は、協会の形に結合した政治団体の場合に準用する。
第七七条
国家倫理委員会は、政治指導者の評価をし、その結果を国家評価委員会に報告した上で国民に公開する。
国家評価委員会の構成、権利義務などについては法律に従う。
第二章
基本施政方針
第七八条(施政方針と報告)
本章の規定は国会での施政方針演説において施政にあたっての法律制定及び政策策定の意図を示すものである。
第七九条(王制・独立・領土・軍の護持)
国は王制、独立、主権及び領土の保全を護持しなければならず、独立、主権、安全保障、王制、国益及び国王を元首とする民主主義制度統治を護持し、そのような勤務を遂行するため、そして国を開発するために軍事力、武器、及び必要かつ十分な最新技術を保持しなければならない。
第八〇条(宗教の擁護)
国は大部分のタイ人が長く信仰してきた仏教及び他の宗教を擁護し、あらゆる宗教の教徒間の理解および和合を促進するとともに、宗教の原理に基づく道徳の確立と向上および知恵を支援しなければならない。
第八一条
国は諸外国および国際機関との友好及び協力関係を促進し、国および国民の利益のためにタイ国が加盟する、人権、政治、安全保障、経済、社会、天然資源、文化、発展に関する条約を遵守しなければならないし、 互恵主義、国際法の原則にのっとり条約遵守にそった天然資源の運用・分配をしなければならない。
第八二条
国は以下のように施政面での政策指針に基づき施政にあたらなければならない。
(一)グッド・ガバナンスの原則にしたがい公務職の制度を整える。
(二)貧富の差をなくし、公正な社会作りに努める。
(三)地域的な権利の配分に努める。
(四)汚職防止を強化する。
(五)国家権利の公益のための最大活用を促進する。
(六)国民の安全・国民へのサービスの改善に努める。
(七)公務職につく者の倫理観の向上をはかる。
第八三条
国は以下のような地域の強化を促進しなければならない。
(一)国の施策決定、国の機関、地方自治体と協力し、に参加させること。
(二)地域の天然資源の有効利用および保護。
(三)環境の保護、生活水準向上、地域内の協調と調和。
(四)伝統の保護、美術文化の保護、地域の知恵の保護。
(五)地域の少数民族・民族集団の保護。
第八四条
国は以下のような教育の強化に努めなければならない。
(一)学生中心の教育。
(二)継続性のある教育制度。
(三)教育に関する基本資金の配分。
(四)教育者の育成。
(五)教育・研究の支援。
第八五条
児童及び青少年の保護及び開発、幼年者の養育支援、幼年教育提供、男女の平等促進、家族及びコミュニティの結束の促進及び開発、ならびに高齢者、貧困者、障害者もしくは虚弱者、及び困窮者の生活改善及び自立のために、援助及び福祉を供与しなければならない。
第八六条
国民の持続的な安寧をもたらす健康増進を促進、支援及び開発し、国民が標準的であまねく、かつ効率的な保健サービスを受けられるよう管理及び促進し、健康開発及び保健サービスにおいて民間及びコミュニティが参加するよう促す。職業標準及び倫理に従い任務を遂行する当該サービス提供義務者は法律に基づき保護を受ける。
第八七条
国の法律を改革及び開発するため、ならびに法律により影響を受ける者からの意見聴取により法律を憲法に従ったものにする法律改革のため、独立した法律改革機関を設置する法律があるようにする。
第八八条
国は充足経済哲学の指針に基づく行動があるよう促進、支援する。(省略)
第八九条
国の経済・社会の安定および保障を支えるため金融財政規律を維持する。徴税制度を公正で経済・社会情勢の変化に即したものに変革する。(省略)
第九十条
国は、高齢者労働を保護し、恵まれない者の保護をはからなければならない。(省略)
第九一条
公共サービス設定及び提供のための公務及びその他の国の業務制度は、国民参加に留意して、迅速で、効率性を有し、透明、検査可能なものとしなければならない。(省略)
第九二条
天然資源は公共の利益のための国の財産であり、国は天然資源の最大限の有効利用に努めるべきである。(省略)
第九三条
国は、エネルギーの確保・最大の有効利用につとめる。(省略)
第九四条
国は、民族の善良な慣習、伝統的知識、もしくは芸術・文化を保護する。(省略)
第九五条
国は、スポーツの支援・国民の健康の支援に努めるべきである。(省略)
第三章
国会
第一節
総則
第九六条(国会両院)
国会は衆議院及び参議院からなる。国会の会議の両院合同もしくは各院分離は本憲法の規定に従う。
市民は同時に参議院議員及び衆議院議員を兼ねることはできない。
第九七条(国会議長)
衆議院議長を国会議長とし、参議院議長を国会副議長とする。
衆議院議長が空席の場合、もしくは衆議院議長が不在または国会議長としての任務を果たせない場合は、参議院議長が国会議長の任務を代行する。衆議院議長と参議院議長両方とも不在、あるいは任務を果たせない場合は、衆議院副議長・参議院副議長が順番に国会議長の任務を代行する。
国会議長は本憲法の規定に基づく職務権限を有し、両院合同会議において規則に基づき国会運営をなす。
国会議長及び国会議長代行は職務遂行において中立を保たなければならない。
国会副議長は本憲法の規定及び国会議長の委任に基づく職務権限を有する。
第九八条(法令の施行と国会)
憲法付属法令案及び法令案は国会の助言と承認によってのみ法律として制定することができ、国王が署名なされた時、もしくは本憲法に基づき国王署名があったとみなされる時、法律として施行するために官報に公示する。
第九九条(議員資格失効の申立)
それぞれの議員総数の一〇分の一以上の衆議院議員もしくは参議院議員は連名で、自己が所属する議会の議長に対して、その議会のいずれかの議員の資格が第一一六条(三)(四)(五)(六)(七)(八)(九)(一〇)(十一)もしくは(十二)、もしくは第一二八条(三)(四)(五)(七)(八)または(九)に基づき喪失したことを申し立てる権利を有する。申立を受けた議会の議長は、その議員の資格が喪失したか否かを裁定するために、その申立を憲法裁判所に送付する。
憲法裁判所が裁定を下した時、憲法裁判所はその裁定を第一段に基づく申立を受けた議会の議長に通知する。
選挙委員会が衆議院もしくは参議院のいずれかの議員に第一段に基づく議員資格喪失の事由があると判断した場合、その者が属する議会の議長に送り、その議長は第一段及び第二段に基づく裁定のために憲法裁判所に送付する。
第一〇〇条
それぞれの議員総数の四分の一以上の衆議院議員もしくは参議院議員は連名で、自己が所属する議会の議長に対して、その議会のいずれかの議員が不謹慎な行動を行ったことにより衆議院議員あるいは参議院議員の地位に害を加えたとして議員の資格喪失を申し立てる権利を有する。
衆議院もしくは参議院のいずれかの議員が第一段に基づく議員資格喪失の事由があると判断する場合、各議院の現有議員数の四分の三以上で決議すべきである。
第一〇一条(議員資格喪失者の報酬返還)
資格喪失もしくは憲法裁判所による議員資格喪失裁定後の衆議院議員または参議院議員の退任は、退任前もしくはその議員が属する議会の議長が憲法裁判所の裁定通知を受け取る前に、その議員が議員の職務としてなした活動、または受け取った職位給、あるいはその他の報酬に影響しない。ただし衆議院議員選挙及び参議院議員選定についての憲法付属法令により不正に選出されたとの事由で退任する場合は、その者が当該職位ゆえに受け取った職位給及びその他の報酬を返還する。
第一〇二条
本憲法が、憲法付属法令、法令、もしくは、規則の制定を命じている場合において、そのような法を制定しない、あるいは、期間内に提出もしくは審議する義務を有する者がそうしないことによって、本憲法に基づいた装置が実行できなくなった場合には、法令を提出する義務の有する内閣・国の機関長・衆議院議員・参議院議員の不作為とみなし、損害が発生した場合、被害者は損害賠償を求めて国家を訴えることができる。
第二節
衆議院
第一〇三条(構成)
衆議院は四五〇人以上四七〇人以内で構成する。二五〇人の衆議院は選挙区選出及び二〇〇人以上二二〇人以内の比例代表選出の議員で構成する。
衆議院議員選挙においては直接投票及び秘密投票の方法を使用し、それぞれ分けて投票し、投票方法は電子投票あるいは他の方式を使用する。
選挙区選出・比例代表選出の衆議院議員選挙の原則及び方法は衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令に従う。
何らかの事由により総選挙で選出された衆議院議員が四五〇人に達しない場合、衆議院議員総数の九〇%以上であれば、その議員数で衆議院を構成するものとみなす。ただし一八〇日以内に本憲法の規定に基づく定数に達するようにしなければならない。後に選出された衆議院議員の任期は衆議院の残り任期と同じとする。
何らかの事由により衆議院議員の空席があり、第一段の選挙区選出議員定数より下回り、まだ補欠選挙が実施されていない場合、衆議院は現有する衆議院議員で構成する。
衆議院の任期途中において比例代表制で選出された議員が二〇〇人に満たない事由がある場合、比例代表で選出された議員は現有議員で構成する。
第一〇四条(選挙区方式の選挙方法)
選挙区方式の選挙は一つの選挙区につき一人の立候補者に投票することができる。
選挙の実施年より前の年に発表された最新の住民登録数に基づく全国民数を二五〇人の衆議院議員数に均等させ、議員一人当たりの人口を割り出す。
人口が前段に基づく議員一人当たりの人口に満たない県は議員数を一人とする。議員一人当たり人口を上回る人口を有する県であれば、議員一人当たり人口に達するごとに議員数を一人加算する。
前段に基づき各県の議員数が得られた時、その合計数が二五〇人に満たなければ、前段に基づく算出から得られる余り数が最も多い県に議員数一人を加え、以下同様に二五〇人に達するまで余り数が次に多い県に順々に割り振っていく。
選挙区の区割りは、議員数が一人以下の県は県域を選挙区とし、議員数が一人を超える県は各選挙区の議員数が当該人数になるように県域を選挙区に分ける。
第一〇五条
比例代表方式の衆議院議員選挙においては、政党が作成した名簿に基づき選挙する。選挙区内の選挙権者はその選挙区で立候補者名簿を作成した政党に一票を投じる権利を有する。
第一〇六条
比例代表方式の衆議院議員選挙区は以下のように規定する。
全土を六つの県グループに分け、それぞれの県グループを選挙区とし、各選挙区が一〇人の議員数を有するようにする。
県グループの設置において、隣接した県を一つの県グループにし、全グループは選挙の実施年より前の年に発表された最新の住民登録数に基づく全国民数をもとに近似した人口数を有していなければならない。ここに一つの県はその県域全部が同じ選挙内にあるものとする。
名簿作成・人数などの手続きについては選挙に関する憲法附則法令にしたがう。
第一〇七条
各政党の獲得できる議員数の算出方法は次のとおりとする。
(一)各選挙区において選出される各政党の名簿に基づく立候補者の比例算出においては、各政党の選出を受ける者の人数配分のために、その選挙区での各政党の得票数をまず合計し、その選挙区の議席数で割った比例基準値を算出する。
(二)当該政党の取得した選挙区方式の議員数を考慮する。
(三)比例代表の議員数が選挙区方式の議員数を上回る場合、(一)で算出した議員数に達するまで比例代表方式の議員数を配分する。
(四)比例代表の議員数が選挙区方式の議員数と同じ、あるいは下回る場合、選挙区方式で取得した議員数のみ配分される。
(五)(三)で算出した比例代表議員の合計が二二〇人を超える場合、各政党から同じ割合で減数させ、合計二二〇人に超えないようにする。
各地域の政党に(三)による配分をする時は、その地域で当該政党が取得する議員数と、全国の(一)の方法で取得する議員数をも考慮する。
他の算出方法は選挙に関する憲法附則法令にしたがう。
第一〇八条(選挙権者の資格)
以下の資格を有する者を選挙権者とする。
(一)タイ国籍を有する。ただし国籍変更によりタイ国籍を有している者はタイ国籍を取得してから五年以上経っていなければならない。
(二)選挙実施年の一月一日に満一八歳以上である。かつ
(三)投票日まで九〇日以上にわたり選挙区にある住民登録書に氏名が記載されている。
自己が住民登録している第九二条(一)に基づく選挙区外に居住している、もしくは選挙区にある住民登録書に氏名が記載されてから投票日まで九〇日に達しない、あるいは国外に居住地を有する選挙権者も選挙で投票する権利を有する。ここに衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令が定めた原則、方法及び要件に従う。
第一〇九条
選挙投票日に以下の様態にある者は選挙権の行使を禁じる。
(一)僧侶、沙彌、修行者もしくは出家者。
(二)選挙権取消中の者。
(三)裁判所の令状もしくは法的な命令により拘禁中の者。
(四)心神喪失者もしくは心神耗弱者。
第一一〇条(立候補資格)
以下の資格を有する者を衆議院議員の被選挙権者とする。
(一)出生によるタイ国籍を有する。
(二)投票日に満二五歳以上である。
(三)選挙区方式の選挙の立候補者は、以下のいずれかの様態を有していなければならない。
(a)立候補届け出日まで五年以上継続して立候補する県の住民登録書に氏名が記載されている。
(b)立候補する県で出生した者である。
(c)立候補する県に所在する教育機関で四教育年以上継続して教育を受けたことがある。
(d)立候補する県で五年以上継続して公務についたことがある、もしくは住民登録書に氏名が記載されていたことがある。
(四)比例代表方式の立候補者も上記の(三)の定める事項の一つに該当すべきである。
(五)選挙委員会に最新の3年間の納税記録の提出。
(六)衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令が規定したところに基づくその他の資格。
第一一一条(立候補禁止者)
以下の様態にある者は衆議院議員選挙において被選挙権の行使を禁じる。
(一)刑罰を受ける薬物の中毒者である。
(二)破産者である、もしくは悪意の破産者だったことがある。
(三)第一〇九条(一)(二)または(四)に基づき選挙権の行使を禁止される様態にある者である。
(四)禁固判決を受けている、もしくは裁判所の令状により拘禁中である。
(五)過失罪もしくは軽犯罪の場合を除き、禁固判決を受けたことがあり、投票日までに刑期終了から五年が経過していない。
(六)背任もしくは公務上の不正または規律違反の容疑で国の機関または国営企業から免職、解任または解雇されたことがある。
(七)異常な富裕もしくは蓄財を事由に裁判所の判決もしくは命令により財産を国庫に没収されたことがある。
(八)不正選挙・汚職について裁判の判決を受けたことがある。
(九)政治職公務員以外の職位もしくは月給を有する公務員である。
(一〇)地方議会議員あるいは地方行政者である。
(一一)参議院議員である。もしくは参議院議員だったことがあり、議員資格喪失から二年以内である。
(一二)官公庁、国の機関もしくは国営企業の職員または被雇用者、あるいは国のその他の職員である。
(一三)憲法裁判所判事、選挙委員、国会オンブズマン、国家汚職防止取締委員、国家会計委員、もしくは国家人権委員である。
(一四)第二五六条に基づく政治職への就任禁止期間中である。
(一五)第二五三条に基づき罷免決議を受けたことがある。
(一六)その他の選挙に関する憲法附則法令に違反する者。
第一一二条
立候補者は政党あるいは政治団体に所属していなければならない。
比例代表選挙の立候補者を擁立する政党は、選挙区の選挙にも比例代表選挙立候補者の数を上回る数で擁立しなければならない。
第一一三条
立候補者は、白票の数より上回った投票数を取得した場合に限り当選されたとする。
第一一四条
衆議院の任期は選挙投票日から一期四年とする。
衆議院の任期中に衆議院議員を擁する政党が合併することはできない。
第一一五条
衆議院議員の議員資格は選挙投票日から始まる。
第一一六条(議員資格の喪失)
衆議院議員の議員資格は以下の時に喪失する。
(一)衆議院の任期が満了した、もしくは衆議院が解散した。
(二)死亡した。
(三)辞職した。
(四)第一一〇条に基づく資格を失った。
(五)第一一一条に基づく禁止様態にある。
(六)衆議院で第一〇〇条による決議があった場合。
(七)第二五二条に基づく禁止行為をなした。
(八)辞任する。
(九)第二五三条の規定により罷免されるか、憲法裁判所が資格を失うと判断した場合。
(一〇)衆議院議長の許可なくして四分の一を超える日数、会議を欠席した。
(一一)過失罪もしくは軽犯罪による場合を除き、確定判決で禁固刑を受けた。このとき刑執行猶予の有無を問わない。
第一一七条(衆議院任期満了と総選挙)
衆議院の任期が満了した時、国王は総選挙で新たに衆議院議員を選挙するため勅令により衆議院の任期満了日から四五日以内に衆議院議員を選出する総選挙を規定し、その投票日は全国で同日でなければならない。
第一段にもとづき、同日に選挙を行うことが不可能となった場合はすべての選挙が終了した時点で、選挙に関する憲法所属法令にしたがい、選挙結果を公表する。
第一一八条(衆議院解散と総選挙)
国王は新たに衆議院議員を選挙するために衆議院を解散する権限を有する。
衆議院の解散は勅令によりこれをなし、勅令では衆議院解散日から四五日以上・六〇日以内に衆議院議員を新たに選出する総選挙日を規定しなければならず、その投票日は全国で同日でなければならない。
衆議院の解散は同一の事由では一回のみしかこれをなすことはできない。
第一一九条(議員の補充)
衆議院の任期満了、第一六六条に基づく終了、もしくは解散以外の事由により衆議院議員に欠員が生じた時は、以下を実施する。
(一)選挙区方式の選挙による衆議院議員の議席が空席になった場合、衆議院の残りの任期が一八〇日未満の場合を除き、四五日内に補欠選挙を実施する。第一〇七条の適用はできない。
(二)比例代表方式の選挙による衆議院議員の議席が空席になった場合、衆議院議長は空席が生じた日から七日以内に、その選挙区、政党の政党名簿の次点者を代わりの衆議院議員に昇格させることを官報で公示する。ただし昇格する次点者が名簿にない場合、比例代表議員は現有議員により構成する。
(一)に基づき就任する衆議院議員の資格は補欠選挙投票日から、(二)に基づく衆議院議員の資格はその氏名が官報で公示された日の翌日から発生し、任期は衆議院の残り任期と同じとする。
第一二〇条(野党指導者)
内閣が国政を担当し始めた後に、国王は所属する衆議院議員が国務大臣に就任しなかった政党では最大の政党であり、現有衆議院議員総数の五分の一以上の議席を有する政党の党首である衆議院議員を衆議院の野党指導者に任命する。
第一段の規定に該当する政党がない場合は、所属する衆議院議員が国務大臣に就任しなかった政党の衆議院議員の過半数により支持された政党の党首である衆議院議員を衆議院の野党指導者とする。支持票数が同数の場合は籤引きにより決定する。
衆議院議長は衆議院野党指導者任命の勅命に副署する。
衆議院野党指導者は第一段もしくは第二段の資格を欠いた時に退任し、第一三三条第四段の規定を準用する。その場合、国王は空席となった衆議院野党指導者を任命する。
第三節
参議院
第一二一条(構成)
参議院は、次のように、参議院議員の二〇〇人から構成し、各県において一県一人の選挙により選出された議員と、残りは互選・選出で選ばれた参議院議員で構成し、衆議院議員選挙および衆議院議員選出に関する憲法附則法令の規定に従う。
(一)各省の省事務次官もしくは同等の管理職、軍隊側の防衛省事務次官、最高指揮官、各指揮官の各分野に互選によって各一〇名以内。
(二)職業協会の代表者もしくは法律により規律されている職業の代表者で互選によって十五名以内。
(三)農業、労働、学者、地域集団、地域から互選によって三十名以内。
(四)政治、安全保障、国政、法律と法手続き、地方自治、教育、経済、衛生福祉、環境、都市計画、天然資源、エネルギー、科学技術、社会、民族、宗教、美術、文化、消費者保護、社会、児童、女性、障害者、恵まれない者、地域知恵、自営の職業に関する分野の有識者・人格者である代表者で、選出により、五八名。
(五)各県において選挙により一県一名の議員。選挙方法としては、様々な分野の有識者・人格者を各県で一次的に一〇名選抜し、その中から選挙で一名選ぶ。タイ王国において県の新設で県数が増えた場合には(四)の選出する議員数を減らし、(五)の選挙による議員数を県の数に応じて増やしていく。
これについて、(四)のための選出委員会を設置し、当該委員会は、第一段の議員選出のために義務を遂行する。(四)における選出候補者は(五)の選挙立候補者になることができる。
県民が(五)の選挙を行うために選抜委員会を設置し、各県の有識者・人格者を一次的に一〇名選抜する。この選挙は直接・非公開選挙を意味し、県を選挙区とする。
第一四一条のもとで、参議院議員が定数に足りない事由が生じ、参議院議員総数の八五%に達していない場合は議会を開始することはできない。九〇日以内に第一段に基づく定数となるよう参議院議員を選ばなければなければならない。この場合に後に選出された参議院議員の任期は参議院の残りの任期と同じとする。
参議院議員の選挙及び選挙運動における原則、方法、要件、互選に関わる(一)(二)および(三)、選出に関する(四)は、衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令に従う。
第一二二条
参議院議員数に何らかの事由で空席が出た場合、その空席を埋めるための選任が行われていない間は参議院は現有の議員数で構成するものとする。
第一二三条
参議院議員は以下の資格を有さなければならない。
(一)出生によるタイ国籍者である。
(二)立候補日もしくは推薦を受けた日に満四〇歳以上である。
(三)第一二一条の資格。
(四)第一二一条(一)(二)(三)および(五)の参議院の場合は学士以上もしくはそれと同等の学歴を有する。
第一二四条
次のような禁止様態にない者を参議院議員選挙立候補もしくは参議院議員選出推薦を受ける権利を有する者とする。
(一)衆議院議員もしくは政治的地位にある者の父母・祖父母、配偶者、子ではない。
(二)政党の党員または何らかの地位にある者でない、もしくは政党の党員または何らかの地位にあったが、立候補日もしくは推薦を受けた日までにその地位から離れて五年以下の者でない。
(三)参議院を検査する地位にある者でない、もしくはそのの地位にあったが、立候補日もしくは推薦を受けた日までにその地位から離れて二年以下の者でない。
(四)第一一一条(一)(二)(三)(四)(五)(六)(七)(八)(九)(一一)(一二)(一三)(一四)(一五)あるいは(一六)に基づく被選挙権行使禁止者である。
(五)国務大臣、もしくは地方議会議員または地方行政者ではない他の政治的地位にある者ではない。あるいは当該地位から離れて五年以下の者でない。
第一二五条(兼任禁止)
参議院議員は国務大臣もしくは他の政治的地位者、憲法に基づく独立機関の地位者に就任することはできない。
参議院議員であった者で、議員資格を失ってから二年以内の者は国務大臣もしくは他の政治的地位者に就任することはできない。
第一二六条(任期)
参議院議員の議員資格は、選挙で選ばれた議員の場合は参議院議員選挙投票日から、選出議員の場合は選挙委員会が選出結果を告示した日から始まる。
参議院議員の任期は選挙投票日もしくは選挙委員会の選出結果告示日から一期六年とし、参議院議員は一期を超えて継続してその地位に就くことはできない。
任期により議員資格を失った参議院議員は、新たな参議院議員が就任するまで任務遂行のためそのまま任に留まる。
第一二七条(改選)
選出された参議院議員の任期が満了した時、選挙委員会は任期満了日から六〇日以内に選出が終了するよう参議院議員選出の開始日及び期間規定を告示する。
第一二八条(議員資格喪失)
参議院議員の議員資格は以下の時に喪失する。
(一)任期が満了した。
(二)死亡した。
(三)辞職した。
(四)第一二三条に基づく資格を失った、もしくは第一二四条の定める禁止様態にある。
(五)参議院が第一〇〇条に基づき罷免の決議をなした。
(六)第一二五条、第二六二条に基づく禁止行為をなした。
(七)第二五三条の基づいて罷免されるほか、憲法裁判所より第九九条の基づいて裁定された場合、あるいは裁判所の再選挙の判断がなされた場合。
(八)参議院議長の許可なくして一二〇日以上と定められた会期の四分の一以上の日数の会議を欠席した。
(九)過失罪もしくは軽犯罪、名誉毀損罪による場合を除き、確定判決で禁固刑を受けた。このとき刑執行猶予のあるなしを問わない。
第一二〇条(補充)
第一二八条に基づく事由により参議院の議席に空席が生じた時、九〇日以内に参議院議員の補欠選挙もしくは選出する。補充された参議院議員は前職者の残り任期だけ就任できる。ただし空席となった議員の任期が残り一八〇日に達しない場合、選挙もしくは選出を実施しなくてもよい。
第一三〇条(人選審査)
本憲法の規定に基づく地位に就く者の人事審査において、参議院は一委員会を設置し、その地位への就任を推薦された者の経歴、行状及び倫理上の状況を審査させ、必要な事実関係及び証拠を収集し、引き続き審議するために参議院に報告させる。
内閣総理大臣が内閣の大臣全員あるいは部分的に任命するにあたって、参議院議員が意見を提出したい場合、第一段に従い、一五日以内に意見を提出し、公開することができる。
第二段の規定を、省事務次官、それに準じる公務職、長官のあるいは国営企業の最高執行者任命の場合にも準用する。
第一段に基づく委員会の業務は参議院の議事規則に定められた方法に従う。
ไม่มีความคิดเห็น:
แสดงความคิดเห็น